2017/10/20

【長期連載】A week – 夜が明けた木曜日、足首に無数の腫れが

 

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【前回までのあらすじ】

お酒を飲んだ帰りに乗ったタクシーに、とにかく嫌な思いをした水曜の深夜

酔っ払っていた自分も悪いけど、年下を見下すような口調で話しかけてきた運転手には納得がいかない

ほんと頭にきたけど、奥さんがぼくに大丈夫?と声をかけてくれたおかげで、イライラした気持ちを落ち着かせることができた

山場とも言える水曜日を超えた翌日、果たしてどんなイベントがやってくるのか

まぁ良いことでは無いだろうけど

 

前回の記事を読み逃した方はこちらから

 

まるでマシンガンで打ったかのように、無数の蚊に足首を刺されまくる

家に入り、そのままシャワーを浴びに風呂場へ向かった

(良い接待だったのに、オチがなぁ…)

鏡に写った自分の顔が、やけに老け込んでみえた

15分程度でシャワーを済ませ、明日の準備をしたあと、倒れるようにベッドに入った

「さっきはありがとう」

寝息が聞こえる

すでに奥さんは寝てしまったようだ

 

翌朝、お酒もさほど残っておらず、スッキリとした気分で目が覚めた

その日は朝から物流倉庫へ向かわなければならなかったので、いつもより早めに、眠気もまだ覚めぬまま出かけた

 

ふと、足が痒くなったので、立ち止まってポリポリかいた

歩き出しているうちに、今度は反対の足がかゆくなったので、片足を花壇の脇に乗せまたポリポリ

(なんかやたら痒いなぁ)

ふと右足の足首を見ると、赤く腫れ上がっているところがある

しかも1個じゃなく、3個だ

左足首も覗いてみると、同じような腫れが2個、そのうち1個はくるぶし

これは間違いなく「蚊」だ

 

いつ刺されたのかわからない

ただ、外で刺されたことに間違いないだろう

なぜなら家の中では、リビングと寝室に必ずベイプをつけているからだ

その日は七分丈のパンツを履いていたから、妙に蚊に刺されが目立つ

それに昨日の酒が残っているせいで、血行が良く、歩くたびにジワジワと痒くなってくる

月曜の膝の痛みなんて通り越して、とにかく痒くてたまらないのだ

 

2,3分歩いてはポリポリ、駅まで4ポリポリをして、エスカレーターでとにかくかきまくった

中でもくるぶしが痒くてたまらなかった

幸いにも電車は冷房が効いていたおかげで、痒みは抑えられ、無心でスマホに向かうことができた

 

会社に到着すると、まだ誰も来ていなかった

社内は熱気と湿気でモヤモヤ、すぐさま冷房と電気を点けた

もちろん室内が急に冷えるなんてことはない

だから荷物の準備をしている途中は、とにかく痒くてたまらなかった

左脇に荷物をかかえながら、右手で両足を交互にかくという、なんとも滑稽な姿が時折鏡に写っていた

急いで車のエンジンをかけ、冷房全開でしばらく放置

急いで荷物をまとめ、車へと駆け込んだ

 

首都高へ乗ってしばらくすると、渋滞にぶつかった

いつもこの時間帯はどこかで渋滞するのだけど、その日はまったく進む気配がない

少し進んでは止まり、しばらくしてまた少し進む

まるでしゃくとり虫のようだ

そんなペースで走っていると、どんどん太陽が昇ってきて、日差しがとても暑くなってきた

どこまで続く渋滞なのか分からない

だから銀座付近についたところで路線変更し、一般道から向かう賭けに出た

 

一般道に入ると、ナビが時間を計測し出した

(なんだ、いつもと大して変わらないじゃん)

こっちを選択して正解だったようだ

 

しばらく走って、物流倉庫の近辺にあるコンビニへと寄った

朝何も食べていなかったのでおにぎりを2つ、レジで支払ってそのままトイレへと向かった

トイレで鼻をかみ、用をたしているとき、足元に何かが飛んでいる

まさかの、また「蚊」だ!

ちょうど出始まったところで動くことができない、マジでタイミングが悪すぎる

すると自分の視線から蚊が消えた

(マズい、確実に今足元に止まっている)

片足ずつジタバタしたり、貧乏ゆすりで奴に衝撃を与えた

どれだけ効果があるかわからないけど、じっと我慢してるぐらいなら、やれることは全てやってやる、そんな気持ちで必死だった

 

用をたし終えた瞬間、即座に足元を見た

奴はいない

でも、なんかむず痒かった、だから両手で足全体をたたきまくった

とにかくその場にいるのが嫌だったので、さっさと手を洗って出ようと洗面台の蛇口をひねり、両手にハンドソープをかけたそのときだった

左の手のひらに、赤い血がジワリ

(うぉぉぉぉ、刺してやがった)

密室殺人、殺虫事件である

 

水で流れ落ちていく血をぼーっと眺めていると、コンコン、と、ノックをする音がして我に返った

「あぁ、すいません、どうぞ…」

そそくさと店内を駆け抜けて車に戻った

「はぁ…」

すでに足首をたくさん刺されているのだから、そりゃため息が出る

 

念のためどこを刺されたのか、車の中でチェックしてみた

足首は1、2、、こっちは3、4、5、、

ろ、6個!

また足首だ

しかも右足に4個、バランスが悪い

Tシャツを着てるから腕は出てるし、首元もガラ空き

なのに、なんでそんな狭いエリアをこぞって刺してくる

「もぅ〜なんなんだよー」

イライラするし、見てるだけで痒くなってきた

 

キーを指してエンジンをかける、と、その瞬間だった

「ぷ〜ん」

また「蚊」だ!

さっきやっつけたのは、自分を刺した奴じゃなかったのか?

とにかく、奴はぼくのことを完全につけて来たことに間違いはない

 

だが、焦ることなどなかった

なぜなら車の中には、虫除けスプレーがあるからだ

残念ながら君の負けだ、と、ゆっくりとそれを手に取り、ドアの隙間からすり抜けるように外へ体を出したあと、スプレーをまき散らしドアをドンっと閉めた

 

 

9月も終わりだというのに、アブラゼミの鳴き声が響いてる

日差しは朝とは打って変わり、更にとてつもなく強く、雲ひとつない空が広がっていた

額に汗がにじみ出ている

車の外は本当に暑かった

でも、その日一番、気分が良かった

 

→続いては、「疲労困憊のブラックフライデー」だ!

 

 

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