2018/06/06
盲目の人に易々と声をかけるな。当人にとっては不親切かもしれない
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こんにちは。TSUBASA(eigoenglish11)です
先日ね、視覚障害者の方が、道路のど真ん中を歩いているのを見かけたんです
そこには視覚障害者誘導用ブロック(道路にある黄色いイボイボしたやつ)が無くて、道路の脇にあるフェンスを杖でカンカンやったり、空中を振り回してたんですよ
で、近くを走っている車もいるし、チャリンコが側を突っ切ってたので、こりゃ見てて危ないと思って声をかけたんです
そしたら、その方の話していたことがすごく印象深くて
ここではその時のお話をしたいと思います
手を引くより肩で誘導する
「すいません、どちらまで行かれるのですか?」
杖を振り回していたおじさんに、ぼくはこう声をかけました
そしたらおじさん、すぐにこう答えてきたのです
『すぐそこのバス停だから、ほっといてくれ』
えー、そんな言い方ある?
正直、こんな風に思いました
失礼の無いように聞いたつもりなのに、そんな冷たい言い方ないです
でもね、すぐそこって言っても、人はわんさかいるし、多分、目の見えない人にとっては結構な距離だと思ったんです
だからめげずに、「すぐそこでもバス停はたくさんありますよ?どのバス停ですか?」って聞いたんです
そしたらおじさん、『4番なんだよ』って言ってきました
「4番、4番、、あった、駅前のとこですかね?」
うんと頷いたので、一緒にそこまで行こうと話し、手を引くため、腕をそっと掴もうとしました
その時です
おじさん、ぼくの手を思いっきり振り払いました
『触らなくていいから。そうじゃないんだ。肩貸してくれ。その方が歩けっから』
ふと、何かのドキュメンタリーで見たことを思い出しました
手を引いたり、後ろから押したりする行為は、目の見えない人にとってものすごく怖いこと
杖は自分の前方を確認するためにあって、それ無しで歩くというのは不安でしかないと
「すいません、分かりました。ぼく背が高いですけど大丈夫ですか?」
そう言って手を肩にかけると、おじさんはニヤッと笑ってくれました
右側にフェンスがあるよとか、ちょっと段差になりますよとか、声をかけながら歩いていると、おじさん、警戒心が薄れてきたのか、次のようなことを話してきました
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障害者を狙う悪いやつがいる
ゆっくり駅前へ歩いていると、おじさんこんなこと言ってきたんです
『親切にしてくれるのはありがてぇ。でも悪いやつもいるんだ』
悪いやつ?急に殴ってくるとか、変なやつかなぁと思いました
『こないだじぃさんが「大丈夫ですか?」なんて言って体触ってきて、持ってた財布、2つ取られたんだ』
えーーー
思わず声を上げました
いやいや、そんなことするやついるの?
あり得ないっしょ
しかもその被害者本人が目の前に
もうね、めちゃくちゃショック受けました
『だからさ、親切にしてくれるのが怖いんだよ。だってさ、知らないやつが声かけてくるんだぜ?その財布買ったばかりだったのにさ。しかも2つ取られたし。おれはさ、警察ですって言われても、ほんとにこいつ警察なのかって思っちゃうんだよ』
はー
大きなため息が漏れました
おじさんの言ってることが、ガツンと身にしみました
だからぼくが声をかけた時も、あんな態度をして来たんだって、仕方ないことだって、心底思いました
目が見えないと、音が頼りになるけど、どんな人が声をかけても、盲目者にとっては不安でしかない
例えそれが警察であろうと、嘘をつかれてるかもしれない
外へ出かける度に、常にそんな警戒心あると考えただけで、ゾッとしました
どんな人間だろうと、恐怖でしかないんだなって
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当人が知りたい情報を伝える
バス停に到着すると、ちょうどバスが停まってました
「バス来てますよ」と伝えると、おじさんは次のように、色々と尋ねてきました
『バスの中混んでる?座れそうかな?』
『どこ行きになってる?』
『人はどのぐらい並んでる?』
『あと何分で来る?』
ぼくらが日頃から無意識に目に入っている情報
その全てを聞いてきたのです
もちろん、おじさんの質問にちゃんと答えました
「〇〇行きですね。でも混んでて座れそうにもないです。バス停には5人並んでいます。あと8分程で次が到着するので椅子にかけて待ちましょう。ベンチは1本進んだ先にあります」
するとおじさんは、『オッケー。もう大丈夫、ありがとな』と言ったので、「お気をつけて」と、ぼくはその場を後にしました
こちらから伝える情報は親切かもしれない
でも本人が知りたいのって、そうとは限らない
振り返ると目の見えないおじさんは、椅子にかけてバスを待っていました
光を感じるのか、それとも真っ暗なのかは分からない
ただおじさんは、また不安の中を生きていくんだ
おじさん、色々教えてくれてありがとう
すごく勉強になりました
強さにシビれました